世界の諸宗教の代表が平和を祈る集いが、今年(2010年)は10月3日から5日までスペインのバルセロナで開かれ、対話を通じた平和構築を呼びかける平和宣言を採択しました。
この平和の祈りは、1986年に前教皇のヨハネ・パウロ2世の呼びかけでイタリアのアッシジで開かれて以来、今年で25回目を数えます。
集いにはキリスト教をはじめ、イスラム教や仏教、ユダヤ教、ヒンズー教など世界の諸宗教の代表500人が参加しました。「危機の時代に共に生きる~人びとの家族、神の家族~」をテーマに3日間、参加者が信仰と平和について多様な角度から意見を交わしました。
「いのちの価値とアジアの宗教」に関する分科会では、日本から出席した世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会、臨済宗、天理教、天台宗、立正佼成会の代表が教皇庁の諸宗教対話評議会次長とともに、信仰者と人びとが対話を深めながら、身近なところから平和を創造していくことの大切さを話し合いました。
5日午後、それぞれの宗教が平和の祈りをささげた後、ともにバルセロナ旧市街を静かに平和行進しました。この後、各宗教・宗派の代表者が一人ずつろうそくを手に、平和の祈りの火をともし、平和宣言に署名しました。
平和宣言は、世界に紛争とグローバル化による貧困とがまん延しているとした上で、諸宗教が証ししてきた平和を、祈りと忍耐強い愛に根ざした対話を通じて、実現するよう呼びかけています。
今年の祈りの集いには教皇庁高官が数多く出席したほか、布教の自由が制限されている中国からはじめて遼寧教区の裴軍民(ペイ・チュンミン)司教が参加し、注目を集めました。また、この祈りの集いを主催するカトリック信徒団体である聖エジディオ共同体の会員およそ3000人が、イタリアやスペインをはじめとするヨーロッパ各地から参集し、平和の祈りの集いに加わりました。
抜けるような秋空のバルセロナでは、アントニオ・ガウディの設計したサグラダ・ファミリア教会が着工から130年近くたった今もなお建設途上ですが、その献堂ミサが教皇ベネディクト16世によって11月に行われることもあり、多くの巡礼者や観光客でにぎわっています。(バルセロナ・二階宗人)